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木地の装飾として施される盛り上げ。白い胡粉を盛り上げ、様式化された菊を描くものであるが、そのバリエーションは意外に多く、手間のかかるものです。
描画には、まず胡粉を秤で計量し、所定のニカワと水を煮立てたものに混ぜて乳鉢ですります。これを画相で花びら一枚一枚を描いていきます。その数は十二ビラ(12枚)と十四ビラ(14枚)がほとんどです。この時、花びらを屈曲させて描く場合があり、これを乱れ菊と呼びます。全てが直線で放射状に描かれたものは丸花と呼び、横から見た花は半花です。さらに、何重にも書き重ね、立体感を出していきます。その数は二重から五重まであり、五重を書くには極めて熟練した技術を要します。
また、重ね書きは下の花びらが乾かないと書けないので、数が増えるとともに日数もかかります。花びらを重ねるに従い画相も細いものが必要となり、職人は自分で画相の穂先を加工して適したものを作製するのです。この作業はニカワが低温だと固まりやすいことから、25度以上の室温が必要で、30度が理想的といわれます。そのため作業部屋は四畳半ほどの狭い部屋で、冬はストーブを焚いて室温を保ちます。また、盛り上げによる花弁はニカワの収縮が中央に凹状の筋が入ることが特徴です。これも室温が適当でないと美しくあらわれません。
花弁の中央にはニオイと呼ばれる細かい突起を描き、黄色に着色しますが、ウラバナと称して突起を描かず青色に着色するものもあります。これは丸花だけにみられます。最後にブラシでみがいて光沢を出して完成します。 |